第八章 南海の女王陛下とジョグジャカルタ王宮との関係など(5)

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     ジャワ人の観点によればこの四地点は超能力を有する霊体の宮殿の中心である。ジョグジャカルタ王宮を取り囲む超自然の宮殿のそれぞれは、霊体の国民を従えている独自の支配者を有しているのである。これらの超自然界の四つの宮殿の支配者たちは、南海の支配者たる南海の女王陛下とDlepihの (チラチャップのSandil Adipala山で休んでいるとも信じられている)支配者たるSang Hyang Pramoni (Dahyabg あるいはKyai Semarとも呼ばれる)、Merapi山の支配者たるSekar Kedaton女王陛下とKyahi Sapu Jagad、Lawu山の支配者たるSunan Lawu 陛下である。(Subagya, 1981:123; Triyoga, 1991:94)

     Snouck Hurgronje (Ossenbruggen 1977:57)によると、これらの四者はすべてが神の創造物であるとみられ、人間たち自身の覚醒を引き起こすための必要な神秘的な業務としていろいろな伝統儀式を行う必要があり、これら四者は総合体となるのである。このように、ジョグジャカルタ王宮はそれを取り巻く超自然界の四つの王国を統一する世界の中心として機能している。五つの王宮は、その存在を切り離すことが困難であり神聖な総合体となっている。霊界の四つの王宮は、神秘的な階梯の進行としての戒律と正道、真理、真実として比定される。神秘主義者はムハンマドの光を担ぐ中心軸にあるムハンマドの魂を有するものである。


    第八章 南海の女王陛下とジョグジャカルタ王宮との関係など(5)

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       ジャワ人の観点によればこの四地点は超能力を有する霊体の宮殿の中心である。ジョグジャカルタ王宮を取り囲む超自然の宮殿のそれぞれは、霊体の国民を従えている独自の支配者を有しているのである。これらの超自然界の四つの宮殿の支配者たちは、南海の支配者たる南海の女王陛下とDlepihの (チラチャップのSandil Adipala山で休んでいるとも信じられている)支配者たるSang Hyang Pramoni (Dahyabg あるいはKyai Semarとも呼ばれる)、Merapi山の支配者たるSekar Kedaton女王陛下とKyahi Sapu Jagad、Lawu山の支配者たるSunan Lawu 陛下である。(Subagya, 1981:123; Triyoga, 1991:94)

       Snouck Hurgronje (Ossenbruggen 1977:57)によると、これらの四者はすべてが神の創造物であるとみられ、人間たち自身の覚醒を引き起こすための必要な神秘的な業務としていろいろな伝統儀式を行う必要があり、これら四者は総合体となるのである。このように、ジョグジャカルタ王宮はそれを取り巻く超自然界の四つの王国を統一する世界の中心として機能している。五つの王宮は、その存在を切り離すことが困難であり神聖な総合体となっている。霊界の四つの王宮は、神秘的な階梯の進行としての戒律と正道、真理、真実として比定される。神秘主義者はムハンマドの光を担ぐ中心軸にあるムハンマドの魂を有するものである。


      第八章 南海の女王陛下とジョグジャカルタ王宮との関係など(4)

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         インド化した東南アジアの国や都市、さらに宮廷は小宇宙であった(Heine-Geldern, 1942)と述べている一部の研究者の解析とこれは同一歩調を取っている。完璧な小宇宙としての国家や宮廷の構造は王朝を合法化する重要な要素の一つになっている。「銀河政策」として定義されたもの、すなわち曼荼羅として組織された一つの国、とTambiah (1975:104)はMataramを呼んでいる。Shorto(1963)、Tambiah(1976)、Lehman (1980)が描いたようにTeravada仏教[1]のシステムの中に、四方の守護神の目的とはサルタンの権威を注入するためだったのである。Moertono(1968:27)は国家行政も四つの層にその基礎をおいていることを指摘した。しかし、スピリチュアルな強さとエネルギーは幾何学的に作られるというアイデアもSufiの伝統に存在したとはいえ、中心を取り囲む四人の守護神からなるという考え方は間違いなくイスラム以前から発している。Schimmel (1975:200-204)は、色々な部下に擁護されたQutbのSufiのシステムであることを示している。このシステムとジョグジャカルタのシステムの違いはSemarを除く四方の守護神であり、伝道者たちではない。<262>上記の伝道者の立脚点がジャワイスラムの考え方では、精霊の位置と交換可能になっているのであった。

         

        [1] 上座仏教・小乗仏教


        第八章 南海の女王陛下とジョグジャカルタ王宮との関係など(3)

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           ジョクジャカルタ王宮の存在はジャワ人の宇宙観から切っても切れないものである。ジョクジャカルタ王宮はこの世界と宇宙の中心として機能している一方それを取り囲む超自然世界は宇宙を表徴しているのである。これは、過去から連続してジャワ人の思考様式は宇宙の合一感に支えられているととともに常に分類するための賢明さを性格づけられているとPigeaudが述べているように(1977:80)ジャワ人はとある中心点に向って考える性質を持っている。<261>王宮は世界の中心、王国の自然界のみならず、自然界を取り囲む霊界の四か所の王宮や四方を支配する精霊という超自然界の中心として見られている。イスラムが布教された後とはいえ、四方はJibril, Mikail, Izrail, Israfilに守られているというように調整がなされた。これ以外には、四方の守護神はAbu Bakar, Umar, Aliの精霊によって守られているとされている。預言者ムハンマドの立ち位置は上記の八人の守護神の中立軸にあるカーバ神殿のようなものである。この九つの軸こそがワリソゴを構成するジャワにおける初代のイスラム伝道師であったということから、それ以前の9人のdewaに対する信仰が、ワリソゴの組織の中で形成されたことが見つかったがゆえに、ジャワ人の大多数がイスラムにやすやすと引き込まれたのである。


          第八章 南海の女王陛下とジョグジャカルタ王宮との関係など(2)

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             上記のジャワ人の分類による方角・吉方はその方向を支配しているdewa=天人[1]が存在していると信じられている。このdewaに対するジャワ人の信仰はインドネシアへのヒンドゥー教の進入とかかわっているのは当然のことである。インドのヒンドゥー教の方角を支配している諸dewaは東方を守るDewa Indra、南方を守るDewa Yama、西方を守るDewa Varuna、北方を守るDewa Kuveraである。(Lohui-zen, 1955:359) ヒンドゥー教がインドネシアに入ってきた後、Sedyawatiが述べている(1986:33)ように、この信仰は同地の状況に合わせられるとともにその名も少し変わり、いくつかが追加された。

             「インドネシア文化史に関して行われてきた詳細な研究は、インドネシアに入ってきたインドの文化的要素は常にさらなる変化を遂げたという事実を明らかにしている。この変化と後日行われたこのインドネシア的な努力の結果の源泉になった力は『地元の天才、現地の創造力』の言葉で知られるようになった」

             

            [1] Dewa-dewi


            第八章 南海の女王陛下とジョグジャカルタ王宮との関係など(1)

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              第一節 ジョグジャカルタ王宮の神秘的な地位

               

               <259>ジャワ人の見方によると、王あるいは政治の頂点に立つものは、他人の心が読める、すなわち神秘的な状態になる[1]ことができる人になるとのことである。このように彼は、ジャワ人の観点によると王は世界の安定を制御し守護するためにアッラーから一間を受けているということから、アッラーが創成した神秘的な力を結集することができる人であり王国内で準備していなければならないのである。それゆえ、王が住むための宮殿は神聖なる宇宙の中心として見られているのである。

               この観点に基づいて、Mataram王国は各地域に順位をつけて、、dalam(王都 Kuytanagara)からNegara Agung地域、Mancanegara地域、そしてPesisirとしたのであった。(Sutjipto, 1980) このようにその支配地域を分割したジョグジャカルタ・サルタン国は王都からの同心円距離に依ったのである。(Soemardjan, 1981) これらの観点は、六曜[2]とつながりを有する吉方の空間に対するジャワ人の所得配分・階級と実は強いつながりがある。<260>Pigeaud(1977)とSoemodidjojo(1979)によるとpasaran(脚注参照)の日ごとに各々の吉方がある。Wageは北、Legiは東、Pahingは南、Ponは西、Kliwonは中間あるいは中心を指している。Mataram王国の当地計画の基本はこの概念に基づいているのである。

               

              [1] ’ayn al-yaqin bi ri’yatillah

              [2] ジャワではpasaranと呼ばれるKliwon, Legi, Pahing, Pon, Wageの五種類となっている。


              第七章 南海冥府の女王の存在に関連する各種の伝統と慣習 (70)

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                 「すべての懊悩、試練、困難、悪事、背徳、種々の煩悩、悲しみ、回教国から取り去った、特に我が国からは見えない試練を伴った試練を取り去る本当にあなたであり全知全能なアッラー。ああ、慈悲深きアッラーは恩恵をもって我々と彼らのすべてを許したまう。」

                 この二つの呪文はジャワのムスリムにとって、毎回の安全祈願と、誕生・結婚・死亡の人生のサイクルに関連して必要とされる儀式において「義務とされる祈り」とされている。これらはlabuhanの儀式の時や南海の女王陛下の存在に結び付けられている種々の伝統儀式のときに読誦されるのは当然なのである。

                 

                第七章 訳出終了 2019/9/12


                第七章 南海冥府の女王の存在に関連する各種の伝統と慣習 (69)

                0

                   「アッラーよ、宗教の安全と安寧、身体の健康、知識の追加、幸運と神の恩恵、生きているうちに懺悔を受け入れてもらうこと、死んだときにはお慈悲を下さることをわれらは心から願う。アッラーよ、難しい時代には我々を楽に生きるように、最後の審判の時にはお許しを願うとともに地獄の業火から救ってくださるように」。

                    ジャワムスリムにとっての上記の安全祈願の祈りは厄除けの呪文であり、すべての災難や悪事、受け入れられないような試練を拒否する呪文であるとともにアッラーに許しを得るための鍵となる呪文のようなものである。このLidaf’ al-bala’の呪文は、アッラーの加護を得るための祈りでジャワ人を楽に生きさせるために、またこの世と最後の審判のあとのすべての厄災から守るようにSunan Kalijagaが作ったものなのである。


                  第七章 南海冥府の女王の存在に関連する各種の伝統と慣習 (68)

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                    第14節 純粋なジャワイスラムの厄除けの祈祷

                     

                     どんな厄除け儀式でもジャワムスリムの基本は、最後の審判までの間の安全を願うという意味を持つ安全祈願として知られるものを一般的には読むのである。この呪文は著者がこの本の著作時点まで調べたところではイスラムで推奨されている[1]本にみられるものではなく、さらにはインドネシア以外の世界中のムスリムからは聞いたことがないものである。この呪文は、labuhanなどに続くruwatanの伝統儀式の終了の呪文となっていることを含めて、色々なジャワイスラムの伝統儀式で常に読まれるものである。安全祈願の読誦は、安全、安泰、安穏、平和が障害になく続くことを意味する厄除けの呪文を必ず伴っている。

                      ジャワの高齢のキアイの話によると、この厄除け呪文は確かにジャワイスラムの特徴であるとのこと。この呪文は、KH Sholeh bin Umar as-Samarani (1908年没)、あるいはMbah Shaleh Darat Semarangと呼ばれている人によって作られた。この方が、そのすべてが幸福な一生、すべての人生の階梯における安全が読み込まれている、この安全祈願だけの呪文の抜粋を作った。この呪文は以下のとおりである。

                     

                    [1] Ma’tsurat


                    第七章 南海冥府の女王の存在に関連する各種の伝統と慣習 (67)

                    0

                       意図される特別な重要事項とは、病気治癒や南海岸での行方不明者の捜索や消息を尋ねること、霊的な指示、wetonの日の合同苦行だけ、仕事上あるいは家族などの問題解決を願うような急ぎの案件である。それゆえ確かに、ruwatanやlabuhanなどのいろいろな儀式は神聖の日だけにみられるものではない。<256>そのすべては個人的な必要性にかかわるものであり、アルクルアン第97 Al-Qadr章の節に述べられているように、天使と共にこの世での問題を制御したり解決する業務を有する精霊の一つとして信じられている南海の女王陛下を仲介者として神に祈るためには重要であると彼らは考えている。


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